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幹の④-② 「善」③-②-⑳-⑦~風姿花伝 第七 別紙口伝 「秘すれば花」、その本質⑤-⑦-①~イノベーションの環境と変遷⑨-①芸能のイノベーション



 投稿者  安宅 関平

 さて、ここからは島津亜矢さんの新基軸に通じるイノべーション(技術革新)となる「秘すれば花」と、前稿(2015年11月15日の投稿 http://atakanoseki.blog.fc2.com/ )で採り上げたところの、世阿弥の説く「芸を極める」との関係が、どのようなものなのかを追ってみたい。

 そこでまず、世にイノベーションが生じる環境と、その変遷からみてみることにしたい。中でも、演歌・歌謡曲の芸能分野のイノベーショの変遷をみるとき、そのメカニズム環境にまで掘り下げられればと思っている。

 今も昔も、この世が変化進展してきた「源(みなもと)」は、イノべーションにあると思われる。
その最も解りやすい事例は、将来の産業基盤として期待されている宇宙科学とエネルギー技術のイノベーションである。その原点は古く、「引力」の発見と「蒸気機関」の開発だといわれている。
また、現代の産業基盤である「IT産業」では、米IBM社の「コンピュータ」の開発、それに続きビル・ゲイツの率いたマイクロソフト社の「Windows」のソフト開発、そしてスティーブ・ジョブズがリードしたアップル社の通信機「スマートフォン」の開発が、社会における利便性のスピードを増したものであった。
これが、イノべーションの解りやすい代表例である。
 これらによって、世は大きく変革されている。
それは正に、物理学、数学、電子工学やその他の化学の基礎知識から育(はぐく)まれた技術による数多(あまた)なイノべーションの積み重ねが、集大成されて作られたもので、それが物事(ものごと)の新基軸として展開し、定着して、新しい世が作りだされてきたのである。
 そうしたイノべーション効果は、生活のハード面において、物の豊かさや便利さを加速させた。これらを人々は「発展」とか「向上」と呼んでいるように思える。この発展や向上の歴史が、イノべーションの変遷とみてよいかと思われる。

 こうしたことは、生活におけるソフト面の芸能についても同様である。
元々、芸能なるものは、神に捧げるものとして発生した祈りの行為である。それが時代の移り替わりに伴い、演劇、音楽、舞踏、演芸等のジャンルに別れ、それぞれがまた細分化されて、今日の各種芸能に至っている。こうした分裂や細分化を担(にな)ったのは、やはりイノベーションだったのである。
 では、芸能の場合、イノベーションの起源はどこにあって、何が原因だったのであろうか。
それは、時代の変遷に伴って、芸の変質と多様化を必要としたことにある。
では、とうして変質と多様化を必要としたかである。
古代の当初より、巫女を中心とした神に捧げる神楽が、その土地や地域等に定着していた。
だが、奈良時代あたりから、全国を流れ歩く巫女もどき芸人の発生をみている。そして、神に捧げる神楽の流れが、巫女もどき芸人の民踊(みんよう)に取って代わられ、娯楽に変質していったのである。
こうして芸の性質が変質すると、それに係わった芸人達は、神に捧げる神聖なものを、娯楽の具にするとして「卑しく振舞う不逞(ふてい)の輩(やから)」とさげすまされ、虐(しいた)げられるようになる。
すると、そこから起きる芸人のハングリー精神が起爆剤となり、より楽しいものを与えられる芸の開発競争が始まる。それが近世の江戸時代までイノベーションをもって分裂・細分化を繰返し、新基軸が促進された主たる要因かと思われる。
 ところが、近代の明治時代に移ると文明開化がはやされ、西洋の文明がなだれ込む。すると、それまで分裂・細分化で生まれた多種多様な形態の芸能が整理・整頓される。その一方で、西洋文明の中にあるような、芸人が生活の糧(かて)にできる新たな芸のイノベーションが創造され、芸の専売業が市民権を得て社会的に認められる。そのことが芸人にとって、時代に合った生活と地位の安定・向上の基礎につながり、今日の繁栄した芸能に至っていると思われる。
このように、イノベーションの積み重ねが、新しい基軸となって、その時代その時代を背負い、芸能は今日まで続けられてきたといえる。しかも、この後もそれを繰返すことと思われる。
 こうして、芸能もイノべーションにより、変化し続けてきているのである。


 地にありて朝顔の芽の這いあがる ころは紅葉の幕も降りたに




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